【機体概要】RX-78 ガンダム
登場作品:TVアニメ「機動戦士ガンダム」
起死回生を狙った地球連邦軍の「V作戦」で極秘裏に製造されたモビルスーツ。
ビームサーベルとビームライフルに代表されるビーム系武器をを史上初めて武装として搭載し、ビームライフルは戦艦並みの凄まじい破壊力を誇る。
パイロットのアムロ・レイの類稀なる素質とガンダムの高性能さが組み合わさった勇壮な活躍は、地球連邦軍と仲間たちの危機を幾度も救った。
①旧キット 1/60 ガンダムの全付属品
外箱・パッケージアート
●パッケージアート
赤っぽい宇宙を背景に、ビームライフルとシールドを構えるガンダム。
後ろには背景と同化してちょっと怖い色使いのホワイトベースがいます。
どんな出来上がりになるか想像がつくように、塗装済みの状態でポーズを取るガンダムの写真が載っています。
各武装とコアファイターなどの付属品も塗装済みで載っています。軽い説明付きでキットの内容がよく分かります。
●パッケージ右面
ガンダムに関連するMSとパイロットスーツ姿のアムロが載っています。
左側にガンダムの解説が載っていますが、現在とは異なる当時の設定そのままです。設定が変遷してきたガンダムの長い歴史を感じさせます。

パッケージの上下は、上下共通のデザインです。
コアファイターとパイロットフィギュアの付属、ビッグスケールなど、このキットならではのウリが書かれています。
組立説明書
SD/HGの折り畳みリーフレット形式と同じく、3つ折りの紙に組み立て説明図が両面印刷されています。
1/100スケールにはなかった機体の解説付き。モノクロではありますが、きちんと解説がついているのは流石1/60。
MSのフレームという概念が無かったころの、機械がみっしりと詰まった内部構造をしています。当時の設定を知る貴重な資料の一つではないでしょうか。
塗装図が無いので、灰色になっている部分にこの色を塗る、という指定があります。
全ランナー5枚&ポリキャップと塩ビ板とオプションビームサーベル
全ランナーは5枚です。大きいスケールだけあって、これまでで一番ランナーとパーツ数が多いです。
色分けが3色で豪華になり、ポリキャップが付属! これが1/60スケールの力だ!
ポリキャップは現代のガンプラでは関節部分に使われる素材で、ゴムのように粘りと摩擦力があるので、関節の保持力やヘタり対策に使われています。
このキットは1/60スケールで大きく重量があり、腕や膝の保持力とヘタり対策が必須です。なので採用されているんですね!
ポリキャップはもう少し後の時代で出てくると思っていたのですが、まさか初年度から出てくるとは驚きです。
スケールが小さめのキットには予算や技術などの関係で採用できないだけで、よりよい関節の機構を目指す思いは最初からあったんだなぁ、としみじみ思います。
塩ビ板はシールドのスコープに貼ります。ハイパーバズーカ、ガンダムハンマーが入っているランナーの袋に入っています。
透明で一度見失ってしまうと非常に見つけづらいので、なくさないように気をつけましょう。
オプションビームサーベルはクリア素材で透明感のあるビームサーベルが良い人用に、オプションとして付属しています。
初めてのポリキャップ、初めてのクリア素材のビームサーベル。現代のガンプラのスタンダードにつながる豪華さを持つこのキット、至れり尽くせりです!
本体と付属品
- 1/60 ガンダム本体
- ビームサーベル×2本
- ビームライフル
- ハイパーバズーカ 弾丸×1個
- ガンダムハンマー
- シールド
- コアファイター
- アムロ・レイのフィギュア
- 差し替え用手首、左右各1個
- オプションビームサーベル
本体に加え、ビームサーベル、ビームライフル、ハイパーバズーカ、ガンダムハンマー、シールドのガンダムの基本的な武装が付属。
ガンダムハンマーが初登場!大方の戦闘ポーズ・戦闘シーンが再現出来ます。
コアファイターが本体から離れて独立しているのが嬉しいですね!
もちろん変形・合体可能なので、ガンダムのギミックをしっかりと再現出来ます!
「1/100 ガンダム」では胴体のコアファイターが剥き出しで設定とは違う見た目になってしまっており、別々に飾ろうとすると差し替え用パーツが必要で不格好になってしまっていました。
このキットはきちんとガンダムに胴体があるので、Aパーツ(上半身)とBパーツ(下半身)とコアファイターを接続しても剥き出しになりませんし、別々に飾れます。かなり進化しています!
また、アムロ・レイのパイロットスーツ姿のフィギュアも付属しています。これも初めてですね。左手の上に載せて縮尺を楽しんだり、ガンダムの世界に思いを馳せて遊べます。
差し替え用の手首は武器ごとに使い分けます。それぞれの武器の持ち手の形が設定そのままなので、それに合わせた持ち手が付属しているんですね。「1/100」や「B.M.C」と違い、プラモ用に持ち手がアレンジされて単なる丸い穴に武器を差すのではない、リアリティがある武器の持ち方が出来るようになっています。
うーん、やっぱり豪華です!
②実際に組み立てて作ってみる
腕・脚・全身の内部構造
肩、上腕、前腕、手から出来た腕の内部構造。
関節部分にポリキャップがしっかりと使われています。
胴体にあるミゾに肩の赤いパーツの出っ張りをはめ、赤いパーツと胴体を接着して、腕と胴体を接続します。
接着されているのは赤いパーツだけで、その中にあるポリキャップは接着されておらず自由に回転するので、肩の可動が可能になっています。
首は、首にあるミゾを胴体の首側の丸い切り欠きに引っ掛けて接続します。
もも、下腿、足首から出来た脚の内部構造。ここでもバッチリ、ポリキャップが活躍しています。
腿の内側にある接続軸を腰のパーツにある接続穴にはめて、脚と腰部を接続します。
重心になりやすい腰部にもポリキャップが使われていて、保持とヘタり対策が取られているのが嬉しいですね。
接続軸を接続穴にはめ込み接続したり、円形の切り欠きに出っ張りを引っかける構造はこれまでのキットと変わりありません。
ポリキャップが使われていますが、現代のガンプラとはちょっと使い方が違い、この時代のスタンダードな構造を基本に保持力とヘタリ対策を後押しするような使われ方をしています。
昔のキットなので接着剤不要のスナップフィットは無く、すべての工程で接着剤を使って組み立てます。
作る時はプラモデル用接着剤を忘れずに購入しましょう。
有機溶剤が入っているので、寒い冬でも「冷たい外気が入ってきちゃうし……」と横着せずに換気しましょう! 安全第一です!
③旧キット 1/60 ガンダムの造形
前
全長は約30cm。二ケタ台の1/60スケールは非常に大きいです!存在感がものすごくあります。
右横。この時代ならではの太さと厚みが非常に印象的です。小顔で脚が長い良いスタイルが主流の現在のガンプラにはない、カッコ良さと迫力があります。
流石1/60スケール、マスクのスリットのような細かい部分までエッジが立っています。
顔が作中よりも縦長で大人っぽいのが印象的ですね。
胴体部分。全体的に横に広く、頼もしい力強さを感じさせます。腕は若干短いでしょうか。
赤い接続パーツが見えていますが、厚みがあるパーツなのでどうしても見えてしまいます。仕様と考えた方がよさそうです。
脚部分。腿から足先までの脚全体がモナカ割りとなっています。
脛の辺りのモールド感と立体感は、このスケールのエッジの立ち方ならではのスタイリッシュさです。
足首や赤い部分が若干噛み合っていませんが、金型が損耗してパーツがゆがんでいるのか、どうしても噛み合いませんでした。改修するなら苦労しそうです。
横
膝と足首の丸がクッキリとしていて綺麗です。やっぱり太目で迫力がありますね~。
後ろ
「1/100」と「B.M.C」ではオミットされていたバーニアが造形されています。別パーツなので存在がクッキリしています。
足の裏はツルツルです。
「1/100 ガンダム」ではあったモールドやバーニア表現の凹みがないので、ここは下位互換のようになってしまっています。色分けと引き換えといったところですね。
④旧キット 1/60 ガンダムの色分け
成形色の緑がかった白、赤、濃紺で色分け出来ているところ以外が、色分けが必要なところになります。
- 成形色にない青・黄色
- シールドのフチの白色
- ビームライフルのスコープの黄色
- コアファイターの赤い成形色で補えている部分以外全て
Vの字の基部や足首の赤、シールドのスコープの白色が色分けされているのが、進化しています。「B.M.C 1/144 ガンダム」の一色はもちろん、「1/100 ガンダム」のアンテナやランドセルに赤色が侵食してしまっていたのよりも、色分けが進みました!
とはいえ、シールドのフチの白い色分けがありませんし、コアファイターの色分けはほとんどないといっても過言ではありません。白にトリコロールカラーで色数の多いガンダムは、成形色だけで完全な色分けをするのは難しいんですね。
濃紺の部分が武器類のグレーに相当するように出来ているようなのですが、人によっては気になるかもしれません。作中では普通にグレーだったので。
グレーの成形色が何故濃紺として表現されているのか、ちょっと不思議なキットです。
⑤旧キット 1/60 ガンダムの可動範囲
肩・腕・手
肩の四角い装甲に干渉するまで、腕は水平まで広げられます。
上腕部分に干渉するまで、肘は80度ほど曲げられます。
肩は360度回転します。
股関節・膝・足
脚は前に少し、隙間が出来て多少不格好ではありますが後ろに大きく動きます。
膝は70度ほど曲がります。
膝の裏側まで突起のようなディテールが再現されているので、干渉して可動範囲が狭いです。一長一短です。
足首は前にほんの少し、後ろにある程度動きます。
首
顎が胴体の襟のような部分に干渉するまで、ほぼ真横を向けます。
⑥武器・シールドなどの武装
ビームサーベル
持ち手の軸に、刃の軸穴を差し込んで接続します。
ついに現代のガンプラのビームサーベルの構造と同じ構造になりました! 真っ平ら千歳飴をやめて、先が尖った格好いいビームサーベルなのが高ポイントです。
クリア素材で出来たオプションビームサーベルは、自分で先端を尖らせる必要があります。
クリア感を活かすためには丁寧な処理が必要になるので、スキルアップによさそうです。
ビームライフル
持ち手が丸い棒で簡略化されていない、きちんとリアリティのある造形。細かいモールドなどはありませんが、各部の造形は現在のキットと遜色がありません。
スコープと弾倉は左右に自由に動きます。
ハイパーバズーカ×1挺 弾丸×1個
楕円のモールドが綺麗に入っています。持ち手の下の部分は前後に自由に動きます。
ガンダムハンマー
初登場のガンダムハンマー。棘の部分がしっかりと突き出ており、とても格好いいです。錨もシンプルで作中通りの造形。
鎖の部分は合計30個を一つ一つ自分でくっつけて作ります。
やや大変ですが、出来上がった時の鎖らしいジャラジャラ感を見れば、作り甲斐を感じること間違いなしです!
1/60スケールで、一つ一つの鎖を独立させられるからこその作り方とジャラジャラ感です。
シールド
デザインがシンプルで、どのスケールでもクオリティにブレがないシールド。
見えづらいですが、スコープ部に塩ビ板が貼られています。チラッと光を反射して白く光るので、スコープ感が増します。
ポージングを取らせるときにはまず見えない位置ではありますが、裏面にコピーライトが入っているのがちょっと気になってしまいますね。
コアファイター
各所のモールドが繊細な造形で描かれています。後ろのバーニアの丸もハッキリしています。
車輪は固定されているので走らせて遊ぶことは出来ません。
変形・合体機構があります。「1/100 ガンダム」と全く同じ構造です。
- 垂直尾翼を外す
- 裏側の車輪2つを外す
- 機首を本体側へ押し込む
- 機首全体を裏側に格納
- 主翼を折り畳む
- 腰部に差し込んで完成
コアファイターの上から胴体の赤い部分を覆いかぶせるようにして、上半身と下半身を接続するので、コアファイターが剥き出しになることはありません。
もちろん、コアファイターがなくても上半身と下半身の接続が可能です。
コアファイター入りでアムロの操縦中をイメージしてよし、別々に飾ってもよしの嬉しい仕様です。
アムロ・レイのフィギュア
ベルトやスーツの赤い部分など、3cmしかない中でも出来る限りデザインが再現されています。
目は丸いモールドで出来ておりシンプル。横から見ると、潰れることなく、ヘルメットと顔が別々に造形されている事が分かります。
数センチしかない中でも髪の毛まで再現してしまう最近のパイロットフィギュアよりディテールが少ないですが、40年前ながら細かいところまで頑張っています。
⑦レッツポージング!
パッケージにあるポーズ。
パッケージの絵は全体像を見渡せるように動きが少ないものが多いです。しかし、大きさがあるので動きが少なくても迫力が伝わってきますね。
ビームサーベルを構える。大きくて迫力があるので、どっしりとしたポーズが似合います。
ビームライフルを構える。ちょっと分かりづらいですが、トリガーがきちんと人差し指の辺りに来ています。リアリティがあってとても良いです。
全長30cmのずっしりとした重量のおかげで安定性があります。重心を上手く取ればつま先立ちもイケる!
ビームライフルだけではなく、ハイパーバズーカもきちんとトリガーが人差し指に来ます。
重量を感じさせる体格。後ろ姿も格好いいです。
ガンダムハンマーは鎖にジャラジャラとしており空中に浮かせることが出来ないので、静的なポーズオンリーになります。
鎖がリアルなので、静かなポーズでもビシッっとキマります。
ハイパーバズーカとビームライフル、夢の2台持ち! これは絶対に強い!
ポリキャップがあるので、腕や脚を止めたい場所でピッタリと止まってくれます。
ポリキャップが無いキットはプラスチックが剥き出しで関節を動かした感じが軽いのですが、このキットは適度に摩擦があって重いです。触った感じが全然違います。
これまでは、キットによってはポージングを取る前の可動範囲の確認で数回動かしただけで完全にヘタって関節がブラブラしてしまっていました。しかし今回、ポリキャップのおかげで何度ポージングを取らせても少しもヘタることがありませんでした。
ポージングを全て撮り終えてからも、保持力が組み立てた最初の状態を維持しています。
ポリキャップの保持力とヘタり対策への効果、素晴らしい! ポリキャップ最高や!!!!
EX.「B.M.C 1/144 ガンダム」「1/100 ガンダム」との比較
色分けに関してはまだまだですが、それでも「白一色→白と赤→白と赤と濃紺」と順調に進化している事が分かります!
「B.M.C 1/144 ガンダム」と「1/100 ガンダム」は手足が細く小顔で、「1/60 ガンダム」は全体的に太く顔が大きいです。
全体的なディテールやパーツの形に大きな差はなく、3つとも同じ1980年に発売されたキットですが、並べてみるとプロポーションに結構違いがあります。
このキットは、両脚が自然な形で外側に向いており、人間の脚のような有機的な曲がり方をしているのが特徴的ですね。ビームサーベルが突き出ておらずランドセルにバーニアもあるので、一番後ろ姿が格好いいののは「1/60 ガンダム」だと思います。
「1/100 ガンダム」のコアファイターとの比較画像。
キットの成形色の違いで色の違いこそあれど、モールドの形や位置、造形に一切違いがありません。スモール版とビッグ版といった風です。変形・合体機構のシステムも全く同じでした。
ガンダムにはプロポーションの違いがありましたが、コアファイターはそのままそっくり生き映したくらい似てますね!
⑧旧キット 1/60 ガンダムの総評
コアファイター、アムロ・レイと共に。
●成形色が3色に増えた
●ポリキャップで保持力・ヘタり対策が抜群
●ガンダムハンマーが初めて付属
●ビームライフルとハイパーバズーカの持ち手が簡略化されず、設定通り
●コアファイターと本体が完全に独立。しかも変形・合体可能
●パイロットフィギュアやオプションビームサーベルなど、サービス満点
●接着剤で全てのパーツをくっつける
●色分けはあるものの最低限なので、色再現をしたければ塗装必須
●作中でグレーの部分が何故か濃紺になっている
●オプションビームサーベルは自分で加工しないといけない
かっこいいガンダムハンマーがついてきて、武器の持ち手が簡略化されておらず、コアファイターも完全な独立が可能と、評価出来る点ががいっぱいの「1/60 ガンダム」。
これだけでも十分魅力的ですが、ガンプラの関節機構を語るうえで外せないポリキャップが登場したのが、一番の魅力です。
1/144スケール、1/100スケールよりもずっと重量があってヘタりやすいはずの、1/60スケールの重量級の関節の動きを、ポリキャップならではの粘りと摩擦力で大いに支えてくれます。
ここ何回も、下手すると関節の可動を確認しただけでブラブラになってしまう旧キットたちを作って来たので、ポージングを全て終えても最初の保持力が残っているのには、本当に感動しました! 止めたい位置でピッタリと止まってくれるので、ポーズを取らせるのも楽しいです。
ポリキャップの底力、半端ない!!!!!
大きいスケールのキットに保持力とヘタり対策をキッチリと立ててくる、当時の技術力や気遣いにも感心するところです。
ポリキャップが無いお好きな旧キットと、ポリキャップがある「1/60 ガンダム」を組み立てて、関節の保持力とヘタりの違いを確認してみると、楽しい作り方になるかな~と思います!