【旧キット/B.M.C/ガンダム】ベストメカコレクション 1/144 ズゴックのレビュー【1980年/12月】

【機体概要】MSM-07 ズゴック

登場作品:TVアニメ「機動戦士ガンダム」

MIP社が開発したジオン軍の水陸両用モビルスーツ。水冷式と空冷式のラジエーターを併せ持ち、同じジオン軍の水陸両用MSであるゴッグと比べ20tもの軽量化に成功。
出力も2480kwを叩き出し、爪型マニピュレーターの中央から発射されるメガ粒子砲の威力は抜群である。
高い機体性能で水中・陸上ともに大いに活躍し、地球連邦軍の中枢を急襲する「ジャブロー攻略戦」の急先鋒となった。

1/144 MSM-07 量産型ズゴック (機動戦士ガンダム)


①ベストメカコレクション 1/144 ズゴックの全付属品

外箱・パッケージアート

1 パッケージアート

パッケージアート
緑と青の水の流れが美しい水中で、メガ粒子砲を撃つ時のポーズを取るズゴックが描かれています。
水陸両用MSのズゴックならではのアートですね!
右下のカラハはTVアニメ第27話で並みいる地球連邦軍を相手に、獅子奮迅の活躍を見せました。

2 パッケージ左面
パッケージ左面
塗装の参考例やどんな出来上がりになるかの想像がつくように、塗装済みの状態でポーズを取るズゴックの写真が載っています。
3 パッケージ右面
パッケージ右面
ズゴックに関連……しそうであんまりしていないMSが載っています。友軍のジオン軍のMS2つと敵のガンダムの計3機です。
ゴッグとシャア専用ズゴックは翌年(1981年)の5月と7
月で、半年以上空いているので一番の仲間が載ってないです(´· ω · `)
4 パッケージ底面・天面
パッケージ天面・底面
パッケージアートの上下は、上下共通のデザインです。
ブランド名や機体番号、スケールが一目で把握出来るようになっています。

組立説明書

5 組み立て説明書

MG/PGの冊子、SD/HGの折り畳みリーフレット形式の組立説明書とは違い、1枚のリーフレットに塗装図と組み立て説明図が両面印刷されています。
現代の組立説明書でお馴染みの読み物、作品の紹介や機体・パイロットの解説はありません。必要最低限といった雰囲気です。

6 塗装図1

7 塗装図2

塗装図のアップ。ランナーに直接塗装してあるのが時代を感じます。
カラーチャートが無いので、塗装図の色味と色の名前から自力で色を推測して調色する強者仕様となっています。

全ランナー2枚

8 全ランナー

全ランナーは2枚です。
お手軽でコレクション性が高い「B.M.C」の基本的なランナー数の通りですね。現代のSDよりも少ないランナー数です。
どこを作るにも大味なモナカ割りが基本で、関節部の機構も円形の軸に円形の穴が開いたパーツをはめ込む、素朴な作りになっているので少ないパーツで済みます
1/144スケールでもこれくらいのランナー数・パーツ数で組み立てられます。

ランナータグには、スケールとMS名だけが書かれています。です。ランナー数が少ないので「A「B」といった英字でランナーを細かく分ける必要が無いんですね。
ここ数回、「B.M.C」も「1/100」もランナータグが空白のキットが続いていたので、ちゃんと文字が書かれているのが新鮮です!

肩パーツや外部の武装を持つ他のMSが40数個なので、パーツ数が少ない方です。サクサク組める数です。

ランナーの成形色は少し青色が入ったグレーです。

本体

9 全付属品

  1. 1/144 ズゴック本体


ズゴックの武装は

頭部の240mmロケットランチャー
両腕のアイアンネイル
マニピュレーターの中心のメガ粒子砲

と全てMS本体に内蔵されており、作中で外部の武装を使用しなかったので、本体があるだけで武装が完璧に再現されています!

付属品の分の予算や設計を本体につぎ込めたのか、これまでの「B.M.C」シリーズの中で一番ディテールが多く、造形がしっかりしています。
作中の再現でモールドは少ないですが、2019年の目から見ても、造形が甘い部分が1つもありません。

②実際に組み立てて作ってみる

腕・脚・全身の内部構造

10 腕部の内部構造
本体の肩部分への接続軸・上腕・前腕・アイアンネイルの基部から出来た、腕の内部構造。

 

12 腕部の接続の解説

本体の肩部分と、両腕の接続は接着剤で行います。
ズゴックは肩の部分が無く、上腕の接続軸が本体にくっつくのが印象的です。


胴体と接続軸の大きい円型がくっついて固定
中心の小さい円型の部分はくっつかず自由に回転
するので、接着剤でくっつけても回転出来るようになっています。

ポリキャップが無い時代は、構造の工夫で肩を動かしていたんですね!
(解説し忘れてしまったのですが、ガンダムやザクなどの他の「B.M.C」のキットも同様の機構で肩関節が回転します)

ちなみに「1/100」シリーズは8角形のカクカクした面ごとに肩の回転が止まる、クラッチ構造をしています。

11 脚部の内部構造
 もも・下腿・足から出来た脚の内部構造。

13 脚部の接続の解説

 前後に大胆なモナカ割りが施された上半身全体に、両脚の接続軸を接続。
上半身下部にあるはめ込み穴に、両脚の接続軸を入れます。

接続軸はピッチリ隙間なく四角い穴に入り、しかしキツくなくスムーズに両脚が動きます。40年前のバンダイの技術凄いです!

 

腕・脚、どこの内部構造を見ても、円形の部分に出っ張りをひっかけたり、軸穴に軸をはめ込んで接続するシンプルな機構で出来ています。

現代のガンプラの関節素材でおなじみのポリキャップABSは使われていません。
ポリキャップは粘りがあり、ABSは硬さに優れているので、剛性を保ったり摩擦への耐性が必要な関節部分には必ず使われています。

昔のキットならではのルツルのプラスチックがむき出しの関節はヘタるのが非常に早く、いずれの関節も10回程度までしか保持力が持たないと思った方がいいです。
カッコいいポーズを決めて飾りたい時は、決め打ちでポージングさせるとよいでしょう。

アイアンネイルの切り取りと接着が地味に難しい

15 アイアンネイルのランナー

 アイアンネイル先端の丸い部分に、ゲートがあります。
昔のキットならではの、切り取った後のパーツの形を考慮してくれないハードな設計……ッ!!

パーツとゲートの隙間が狭いので普通のプラモデル専用ニッパーだと、ゲートに刃が入りません。薄刃ニッパーを使って切り取りました。
ニッパーの刃先をパーツに近づけすぎると、ゲートと一緒にパーツを真っ直ぐに切断してしまうので、刃先をランナー側に最大限近づけて切り取ると安全です

14 ゲートの切り取り

 モデラーズナイフの刃先を奥に滑らせて、少しずつちまちまとゲートを削り取っていきます。
真っ直ぐな削り痕にならないように、丸い先端に刃先を沿わせながら少しずつ削るのがミソです。丁寧に沿わせればカッターナイフでも丸く削ることが出来ます。

丁寧に行えばきちんと丸く削り取れるので、ジュースでも飲みながらちまちまと削りましょう!

 

17 爪の取り付け2
 アイアンネイルの基部へのクローの取り付けは、接着剤で行います。
基部の平らな部分が左右にそれぞれ3つずつあるので、そこに接着剤でクローをくっつけていきます。

クローの底面はしっかりと面積があるので接着自体は簡単なのですが、ガイドになるものが何もないので位置調整が難しいです。

基部に対して垂直だと思ったら垂直じゃなかったり、少しずつ左右にズレていたり。

 

  1. 接着剤をクローの底面に塗って10秒ほど放置
  2. 接着剤が適度に乾燥し、基部にくっついてズリ落ちなくなったら位置調整
  3. 前後左右、そして正面、あらゆる角度からズレや傾きが無いか確認
  4. 良い位置になったら触らないように注意して、他のクローを接着

いろんな角度から注意深く確認するのがコツです。
今のキットだったらパチッとスナップフィットではめ込む方式だったり、最低限薄いミゾなんかがあってガイドになるんだろうな~と思います。

こういう苦労も当時のキットならではです。せっかくなので、楽しみながら制作しましょう!

 


後は、昔のキットなので接着剤不要のスナップフィットは無く、すべての工程で接着剤を使って組み立てます。
作る時はプラモデル用接着剤を忘れずに購入しましょう。

接着剤を塗る時間の分だけ今のキットよりも時間がかかりますが、パーツ自体が多くないのでキットを組立時間は2時間程度で済みます。
有機溶剤が入っているので、寒い冬でも「冷たい外気が入ってきちゃうし……」と横着せずに換気を! 安全第一です!

③ベストメカコレクション 1/144 ズゴックの造形

18 正面

1/144スケールで全長は約12cmです。

腿の部分がやや細いくらいで、作中のイメージにピッタリです!丸々としていて、胴体や腰回り以外はゆるやかな曲線で出来ています。
後のキットになるほどパーツの分割やディテールの追加で精細化&高密度化していくので、最初の時代のキットが一番作中のイメージに近いですね。

全てが丸っこいので戦闘兵器のはずなのに、かわいい!と評判なのもうなずけます。

19 斜め前

右横。全身にジオンのMSらしい丸みがあります。腰部のカクッっとしたディテールが、丸みだらけのズゴックにアクセントを添えています。

20 顔と胸部

上半身。モノアイは0.5mm程度の丸いモールドで形成。
モノアイ周辺、ダクト、6角形の部分など、非常にエッジが立った造形です。近くで見ると円形から見た可愛さとは裏腹に、意外とキリッとしています。
頭部に6門備える240mmロケットランチャーは、ただの凹みで出来ています。

21 脚

両脚。上腕と同じく、ズゴックに特徴的な段々になったももをきちんと再現。
脚前面の四角いモールドは設計が甘いか金型が損耗してしまったかで、どうやってもピッタリとは合いません。目立つ合わせ目とともに、シンプルな設計で出来た完全モナカ割りな昔のキットの宿命です。
しかしその分、改修のし甲斐はあります!

22 横

横から見るとあたまでっかちなのがよく分かります(笑)
バックパックの厚みと合わさって、上半身の後ろへの広がりがありますね。こういうところもかわいらしい印象を与える一因です。

後ろ

23 後ろ

バックパックは胴体と一体成形ではなく、ちゃんと別パーツです。そのおかげで立体感と存在感が際立ちます。
膝の裏の隙間はももと下腿を接続するパーツの形の都合上、隙間が出来ます。

24 足の裏

造形は無く真っ平らです。TVアニメ作中では真っ平らだったので設定通り。

地上用のMSだと足の裏を見ると「あっ転んじゃってる!」とか思ってしまうのですが、ズゴックは水中を泳いでいるように見えます。

 

④ベストメカコレクション 1/144 ズゴックの色分け

25 色分け

色分け出来ている箇所は無いです(キッパリ)
成形色は少し青色が入ったグレーです。

このグレーが厄介者で、作中のどこの色合いにも、組立説明書の塗装図にも、パッケージアートにも、かすりもしていないッ!

強いて言えば、一番似ているのはTVアニメ作中の上半身の色である「青色が入った薄いグレー」なのですが、成形色では
青色がなさすぎ&グレーが濃すぎ

で、同じグレーといっても全然違う色になってます。

アイアンネイルの色ならなんとか成形色がそのまま使えそうですが、作中よりもグレーが暗めになるので要注意です。

 

色分けがしたいなら、全塗装が必須!

TVアニメ本編や、お好きな媒体や作例のズゴックの画像を手元に用意して、水中によく似合う青いグレーに塗ってあげてください。

⑤ベストメカコレクション 1/144 ズゴックの可動範囲

肩・腕・手

26 肩の可動

上腕が通常の状態で水平より下、上腕を半回転させた状態で水平よりだいぶ上まで上がります。
前者は上腕の先の部分が胴体部分に干渉するので、可動範囲が少し狭くなっています。

28 肩の回転

軸にはめ込む機構なので、肩は360度回転します。

27 肘の可動

肘が胴体側に向いているので、体の前ではなく内側へ向けて前腕が動きます。ちょっとした曲げ伸ばし程度動きます。

股関節・膝・足

29 股関節の可動

股関節。360度回転します。

脚が360度回転するキットは初めてです!
上半身と両脚の接続が、四角い穴に軸を接続するシンプルな構造で、しかも腰部の脚の付け根が開けたデザインのおかげですね!

30 股関節の可動2

31 股関節の可動3
前後だけじゃない、左右にもガッツリ動く! もちろん片足ずつ大胆に動かすのも可能!

32 膝の可動3

膝の可動。前後に少しだけ動きます。

33 足首の可動
足首の可動。前の方に少しだけ上げられます。

膝の可動は狭いですが、大きく動く股関節のおかげで脚全体の可動範囲は今までのキットで最大級です!

前後左右、どこにでも動きます。これだけ動けばダイナミックなポーズが取れます!

⑥レッツポージング!

34 ポージング

35 ポージング2

36 ポージング3

37 ポージング4

パッケージにあるポーズ。長く大きいクローが大迫力で、動きが少なくても格好いいポーズがキマっています!

ちなみに組立説明書にある通り、クローは閉じたタイプ開いたタイプと、お好みの方を自分で選んで接着します。
このズゴックは、○○機と××機、〇型と×型を選んで制作するタイプのキットのご先祖様(!?)

今回は右腕のクローを閉じ、左腕のクローを開けた、左腕でメガ粒子砲を撃ちまくっている姿を再現してみました。
強そうなクローで攻撃するのかと思いきや遠距離攻撃のビーム砲ですから、印象に残ります!

メガ粒子砲の砲口がただの小さい穴なのが、ちょっと残念なところです。丸いモールドにするだけでも大分見た目が違ったかな、と思います。


脚の可動が優秀なので、斜めに傾いたポーズが可能。重心がズレるだけで格好よくなります。


膝立ちのようなポーズも取れる! 


体操選手並みに柔軟。


「うお~っとと……」


「うわ~っ」


どすこい!

片足立ちも難なく行えます。広い脚の可動範囲と、上半身のボリュームによって重心のバランスが素晴らしいです。

お辞儀までできる! ポージングの幅がとっても広い!


メガ粒子砲、発射!


脚の前後の可動が広いと空間に奥行きが出るので、後ろ姿もバッチリキマります。
バックパックの潜水フィンはディテールこそありませんが、下から接着する別パーツで丸い部分の立体感が良く出ています。


240mmロケットランチャーを撃つ時の態勢。対空もバッチリ。


あえて渋いポーズにすると、「静かに佇む猛者」感があふれでる……!

⑦ベストメカコレクション 1/144 ズゴックの総評

51 ポージング18
メガ粒子砲で、地球連邦軍の敵を狙う。作中でよく出てきた構図で、開いたクローと遠近感がクール。

 

世界で最初のズゴックのガンプラ、いかがでしたでしょうか。よくうごく、かわいい。

作中のプロポーションをバッチリ再現
エッジが立ったシャープな造形
上腕を半回転させれば、水平以上に肩が上がる
股関節の可動範囲が広く、片足立ち・開脚も可能なほど脚の可動範囲が非常に広い
アイアンネイルのクローが選択式で、お好みのポーズ再現が出来る

肘や膝の可動範囲は狭いですが、脚の可動範囲が素晴らしい!!!
360度回転するのは現代のキットでも、特殊な作りでなければまず無いです。
非常に柔軟に動き、面白ポーズやアクロバティックなポーズが可能です! こいつ……動くぞ!

「B.M.C 1/144 ガンダム」の発売が7月なので、たった5か月間でも技術が洗練されてきてます。今後の新規の機構を備えたキットへの期待が高まります。

 

接着剤で全てのパーツをくっつける
昔のキットで完全モナカ割りなので合わせ目が多い
成形色がズゴックに合ってないので、色再現がしたければ全塗装が必須

関節がすぐヘタる
「B.M.C 1/144 ズゴック」に限らず、関節部のヘタり対策が取られていない昔のキット全てに付きまとう問題です。

少しでも関節の寿命を延ばしたいなら、自分での改修が必須です。
軸を瞬間接着剤テープボンドなどで太らせれば、太くなった分だけ摩擦での削れに強くなります。
ちょっとした簡単な改修なので、念のためでもやっておいて損はないです。

 


成形色がグレーで色分けが出来ておらず、作中の色再現が全塗装なしでは難しいのが難所です。
しかし、エッジが立った作中さながらのプロポーション、ゴリゴリ動く素晴らしい可動は、それを補って余りある魅力があります。
体操選手や四股のポーズまで取れるので(笑) 塗装なしで可動を楽しむだけでも十分に楽しめます。

これまで作った4つの「B.M.C」シリーズのキット中で一番脚が動くので、初期の旧キットで迷ったらズゴックを買えば間違いないです。

造形を楽しんで良し、面白いポーズを取らせて良し、アイアンネイルでかっこいいポーズを取らせて良し。そして、うごく。かわいい。
いろいろ素晴らしいB.M.Cズゴック、是非お手元にどうぞ!